フェアトレード理論の各企業への応用

 フェアトレードの定義は「対話、透明性、敬意を基盤とし、より公平な条件で国際貿易を行うことを目指す貿易パートナーシップである。特に「南」の弱い立場にある生産者や労働者に対し、よりよい貿易条件を提供し、かつ彼らの権利を守ることにより、フェアトレードは持続可能な発展に貢献する。フェアトレード団体は(消費者に支持されることによって)、生産者の支援、啓発活動、および従来の国際貿易のルールと慣行を変える運動に積極的に取り組む事を約束する」という意味になります。 

 立場の弱い生産者や労働者が珈琲や装飾布製品などの商品を作り、それを貿易上のルールに則った商品として売り出し、消費者がその商品を買い支えることで、立場の弱い生産者や労働者を守り、又、経済活動のプレイヤーとして登場し、その経済活動によって賃金を得るという事です。生産者は、賃金と労働の機会を得ることが出来ます。消費者は、生産活動で伴った商品を購入できます。 

 損益分岐点として、その商品の一定の売上が見込めれば、その利益は、生産者と輸出業者のものになるという事です。もしくは商品1個当たりの売上でなくても、貿易ですから、業者が買い取る時点で利益が出るように購入し、消費者に対して、それぞれの国の為替や市場の価格に応じて売り出せばいいだけです。買い取った時点で、生産者に賃金を約束して、消費者に対しては安く売り出すことが可能になります。 

 それぞれのフェアトレード団体が、採算度外視で買い取り、売り出している可能性があります。また、最初は採算度外視でも、仕組みによっては安定した生産活動になるように、変化している可能性もあります。 

 フェアトレードは、貿易上のルールの元で成立します。なので、国家間で発生する関税を考慮して、対等な取引と交渉が出来、両者のテーブルが一致すれば、その契約金と内容は、どの経済圏にも応用可能な仕組みになります。また企業間でも示し合わせて相互に契約金を担保することは可能です。 

 貿易として、各国の分野を強みにして、企業の収入を、ある意味で他国との貿易として、売上を保障すればいいわけです。そうすると、市場そのものの性質は変わりませんが、企業として、一定期間の売上を、貿易として、各国が成立させる事が出来ます。各国が程よい給与分配を行えるだけの保障をお互いに行うのです。そして、取りすぎず、無さすぎず、を、都度、調整することで、公正な貿易、フェアトレードとして成立します。 

 なので、その貿易等は、確実な契約遂行によるお互いのフェアプレーの約束事として、遂行されるべきであると、考えます。 

 その上で、企業間の取引で考慮しなければならないのは、売上に対する人件費の割合です。労働分配率です。適切な労働分配率は各企業によって異なります。この労働分配率の割合を経営目標として掲げるのは良くないことです。また、各企業ごとに競って比べるものでもありません。高いから良いわけでも低いから良いわけでもありません。それでも、各企業ごとに適切な労働分配率はあります。この割合を算出しなければ、契約金の上昇させた金額の分母に対し、適切な人件費の上昇の分子への効果は、見える化出来ません。 

 見込める売上に対して、売上に対する経費の割合から、売上における適切な経費の金額が算出出来ます。これは税理士に相談して下さい。この時、各企業の経営陣は「人件費」に対して、その金額を反映させなければなりません。各企業ごとに売上を契約金で定めて、それを示し合わせて上昇させ、その上昇分を内部留保の貯金として確保するのではなく、人件費として1人当たりの従業員の時給アップにつなげないと、物価高対策における賃金の上昇は見込めません。また、最低賃金に関わらず、賃金の上昇をしていいんです。 

 内部留保があれば、国税庁は、ここに対する課税は、様子見が必要です。ここの内部留保が無ければ、そもそも、給与アップは出来ないからです。理論上は、厚生年金のテーブルが変わらなければ、試算としては、社会保険料の増額が見込めます。各企業が給与配分を上昇させれば、等級表に対する、給与分の支払いに対する社会保険料は増額される計算になります。全部がやれば、それ相応の金額の上昇になります。内部留保に対しては、結果的に、社会保険料として取るという言い方が適切かもしれません。 

 こうして各企業ごとに賃金を上昇させていけば、理論上、最低賃金1500円は無理ではありません。かといって、筆者として保障しているわけではありません。内部留保に対しては、各企業が直面するのは「割り算」です。時給アップの金額と従業員数が分かれば、どれだけ契約金としての分母が上昇させたかの概算が分かります。 

 例えば、従業員が100人いたとします。時給アップ10円とします。一時間当たり10円。1日8時間として、80円。100人いるから1日8千円。一ヵ月で24万円。1年で288万円です。よって内部留保は300万円が上昇している計算になります。一年間で、分子の割合が288万上昇できるという事は、売上としての分母は、それ以上の300万円が無ければ、割り振ることは出来ません。ここでは従業員100人で、全員毎日稼働したものとします。実際には、休日や残業などがあります。 

 労働分配率に関しては、統計を見ているわけではありませんが、日本は各国に対して低いという意味であれば、これは売上に対して人件費に充てる金額が低いという事を意味します。なので、各社が、人件費として上昇させていけば、インフレになります。